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胴体の連動指令は、サンプリング周期ごとに変化し得るので、その場合は予測着地点も変化する。すなわち、歩行中の歩幅や軌道の向きの変化に合わせて軌道テンプレートで設定した軌道を柔軟に伸縮屈曲させる必要がある。この調製は、軌道テンプレートξH,ξVに胴体運動の速度や方向から算出した係数を掛けることにより行われる。
このような方針により、ある時点φTにおける足先速度を表すことができる。
このようにして計画された足先速度は逆ヤコビアンの計算により各関節のアクチェエータヘの角速度指令となる。
4−3.実時間制御ソフトウェア
現在の実時間ソフトウェアシステムの概略の機能と構成について述べる。各サイクルにおいては、Fig-7.に示すように次の一連の動作が実行される。
・運動の指令は拡張MML言語7)(軌道の指定にロボットの胴体の方向の指定を加えたもの)によって行う。
・運動指令とロボットの状態が与えられた時、各時点でのロボットの基準点の並進移動方向と速度、および回転移動遠度を計算する。
・この3自由度から側行角とデューティ比を求めて、拡張ウェーブ歩容の式により脚位相を求め歩容を決定する。
・上記の歩容変数と足先の接地センサを基に、関節角を計算し脚光運動を決定する。
・その駆動量を計算し、モータヘ出力する。
・センサ情報および運動指令を基に新たなロボットの状態を算出する。
上記の主ルーフのサンプリング時間は10msec。オーダーであり、実時間割込みにより制御される。また、各関節の駆動に必要なパルスの生成もこのサンプリング時間の間に実行される。この実時間制御プログラムはC++言語で書かれている。

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Fig-7. Block diagram of the control system

4−4.シミュレータ
4−2.で述べた全方向移動のための歩容及び脚連動が実現可産であるかを確認するためにワークステーション上にシミュレータを構築した7)。このシミュレータでは、AQUAROBOTの寸法および形状を忠実に再現したCGをアウトプットとして使用している。AQUAROBOTの関節機能も忠実に再現されており、カーソルキーによる歩行方向及び速度指令に対してデューティー比及びクラブアングルを変化させながらスムーズな歩行が可能である。このシミュレータは動きだけでなく慣性力と流体抵抗も考慮しており、AQUAROBOTの動きを全方向から観察できる。シミュレータに用いたワークステーションは、シリコングラフィックス社のIRISシリーズ、CRIMSONであり、グラフィックスには、reality engineを搭載している。CPUはMips社製R4400であり、15MHzのクロックで動作する。メインメモリは64Mbyte搭載している。ソフトウェアは言語にC++コンパイラ、グラフィックスライブラリーにretformer及びinventorを用いている。Fig−8.にシミュレーション画面を示す。

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Fig-8.Simulation of newly developed software

5.実験結果
新たに開発した実時間制御ソフトウェアでAQUAROBOT1号機を制御し陸上歩行実験を行った。Fig-8.に凹凸のある地面上での実験の一例を示す。これはAQUAROBOTを半径1皿の円形の軌跡上を胴体が一定の向きを保つように側行角αを一定の割合で変化させて歩行させたものである。点滅する豆球を胴体と胸先に取付けているので、胴体速度が加速して一定になっていることと、脚光の運動軌跡がわかる。これ以外にも直線と放物線を組合わせた軌道や半径の異なる円弧と直線を組合わせた軌道等の歩行実験を行った。制御用コンピューターはNEC社製PC-9821Xt(Pemtium90MHz)を用いた。タイマー割込み時間は50msec.である。タイマー割込み時間25msec.では歩行内容にもよるがTime Outが生じる場合があった。歩行速度は現在のところ平面上で最大15/min.であり従来ソフトウェアに比べて2倍となっている。これは胴

 

 

 

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